前回の出産レポからの続きです。
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分娩
分娩台に乗り、まずは破膜される。
温かい液体が股から流れているのを感じた。
「ほうほう、破水とはこういうものか」と、痛みの中なぜか冷静に分析している私がいた。
「次いきみたくなったらいきんでいいよ」と言われる。
でも、いきなりいきめといわれても、この時点でずっと痛みを感じている状況だったため、もはやタイミングが正直よくわからない。
とりあえず、いきみたい感覚かどうかは無視していきんでみることにする。
なるほど、中々産めるものではないようだ。
そんな中、先生がやってきて私のいきむタイミングでお腹を押してくる。
「お、今のでだいぶすすんだよ!」と言われる。
骨盤がミシミシいっているのを感じる。めちゃくちゃ痛い。
たまたま病院では過去最高のお産のたてこみようだったようで、ついたての向こうからオギャーオギャー聞こえてきた。
先生も助産師さんもテンヤワンヤしており、「お前も早く産め」という無言の圧力を感じる。
平均どのくらいかかるのかもわからなかった私は、「私すごく時間がかかっているんだ」と思い込む。
子を早く出さねばっ!と、渾身の力を股に集中。
「うまいうまい!」と誉められ調子にのり、再び股にパワー注入。
だが、ある程度のところまで進んだところで止まってしまったようだ。
「うーん、中々出てこないなー。吸引する?」と先生と助産師さんが話している。
え?吸引しないといけないくらい切迫した状況なの?
「会陰切ったらすぐ出そうなんだけどなー。少しだけ切ってもいいかな?」と聞かれ、わが子に負担かかっていると思い込んでいた私はその申し出を承諾。
麻酔の後、切開。
痛みは全く感じなかった。
「切ったからもうすぐ頭出てくるよ」と言われ、俄然やる気をだす。
「ぬぅぅぅー」と渾身の力を込めていきむと、何かが出てきた感じがした。
「オギャッ」 とフライングでわが子が泣き、夫と「今聞こえたよね?」と顔を見合わせる。
「もういきまなくていいよ」と言われ、短く呼吸をしていると、また再度股から熱い固まりが出てきた感覚。
その後すぐ、「フンギャーフンギャー」と元気な産声が聞こえた。
わが子が誕生の際には私も夫もさぞかし号泣するものと思っていたが、実際には夫婦共に意外にも冷静に子の誕生を見守っていた。
「うわー!ホントに人が入ってたんだー!」という、なんともトンチンカンなコメントをする始末。
胎脂ガッツリついてるな~などと、股から出てきたわが子を至って冷静に観察している私がいた。
わが子がお腹にのせられる。
すごくあったかい。
「しーちゃん、出てくるの大変だったね。よく頑張ったね。これからよろしくね」と、話しかける。
夫は、「りんご、よく頑張ったね」と私に声をかけてくれた。
本陣痛から8時間、分娩時間30分。
後に、この分娩時間は初産ではかなり早い方だと聞かされる。
じゃぁ何故あんなに急かしたーっヽ(`Д´#)ノ
もう少し時間をかけていれば、会陰は切らずに済んだのでは…と思わずにいられない。
へその緒切るのが恐いから嫌だ、と言っていた夫だが、気分がハイになっていたからか、急遽切る!と言い出し、切らせてもらうことに。
よい記念になったように思う。
その後、胎盤が出てきたり、会陰を縫われたりとしたが、痛みはほとんど感じなかった。
わが子と会えた喜びが大きくて、夫同様気分がハイになっていていたからだと思う。
「痛くない?後の処置で痛いっていう人多いのに、偉い偉い!」と先生に誉められる。
出てきた胎盤を見せてもらったが、中々な内臓っぷりだった。
「今までありがとう」と感謝の言葉を胎盤へ述べた。
「胎盤を見るのはちょっと…」と言っていた夫だが、何せハイ状態だったため、私よりも熱心に胎盤を観察し、写真に何枚もおさめていた。
いや、写真は撮らなくてもいんじゃない?と思ったものの、口に出すほどでもないかと思い夫の好きにさせることにした。
その結果、わが家にはなんともグロテスクなのに消すに消せない写真データが10枚ほど存在している。
バースプランで色々と希望を書いてはいたが、結局半分も達成できなかった。
あまりにお産が立て込んでしまい、先生も助産師さんも誰が何のバースプランだったのか把握しきれていなかったのだと思う。
少し残念ではあるが仕方がない。
子が無事に産まれてきただけで良いではないか。
車イスに乗り、ベッドへ移動。
あぁー、やっと落ち着いたー。
…とこのときは思っていた。
次回『血腫との戦い』に続きます。